19秋大会総括.4

 

 このハイパー320kmのコースの構想が持ちあがって一番の懸念事項だったのは「選手の安全」である。

 この距離になると主催者が面白がって簡単に開催できる距離ではない。W部門5回の実績と経験があって繰り返しのシュミレーションとイメージを描いておいてもなお、誰もやったことのないフルサポートワンステージの300km超えの世界は未知の世界なのである。サポート側の課題は今の現有勢力でなんとかクリアできそうな算段が立っても、走るランナーの情報は全くないに等しい。そこで本大会に先立ち八ヶ月前にハイパーの試走会をやってみることにした。もちろん私も遅いランナーを代表するつもりで参加した。走りもせずに主催者の知らない世界を参加していただく選手にどうやって説明するというのだ。この試走会の結果は参加できる選手の走力の見極めのためが第一義なのだ。結果は典型的な結果になった。完走した3名のうちスーパーランナー (KZEN氏)の40時間以内、中堅ランナー(北ノ園氏)の56~58時間、そして私(銀蔵氏)の68~71時間、途中離脱した他の皆さんの通過記録も大いに参考になり参加資格の策定に役立ったのだ。ここで今回の参加資格が決定された内容は、「E部門とP部門の両方』をもしくは「E部門とW部門の両方」を完走した方のみ、に絞られた。なぜWのみ完走した選手は除外されたのか?それはWを走れてもEを完走できるとは限らない可能性がEを走れてもWを完走できるとは限らない可能性の方より非常に高いということが身を以て体験できたことにある。今の川原午前4時の厳しい関門が今後続くと考えれば、関門の緩いWを走破することの方が難度は低い。また200キロを超え300キロを超えて判断力が鈍り道に迷いだすことを考えれば、Eの全コースを体験しておくことが選手の安全を図るための必須条件であると考える。

 ただここで重要な当大会の基本ポリシーに抵触する問題にぶち当たる・・・。それは遅いランナーの視点に立った大会コース作りという基本方針に外れてはいないか?ということである。

 

  * 写真は諫早飯盛殿の山(とんの山)の途中から見た結の浜