秋練.17

 

   昨晩は仲秋の名月。本当に綺麗ななお月様だった。毎年晴れればこの日はお月見夜練をするのだが、サバに当たったらしく体調が良くない。昨日までの急なスピ練が祟ったて疲労がたまっていたに違いなし。この件は後日書くとして本日は月の歌

   

     彦山の上から出づる月はよかこげん月はえっとなかばい

 

 あれれ、なんか違いますな~。なんか格調高くもなく何やら長崎弁の庶民的な和歌ではありまするが。……..実はこれは狂歌という和歌の一分類です。

 江戸っ子牛込の生まれ。大田蜀山人(本名 直次郎)は天明期に狂歌ブームの主役の一人だったらしい。少年期では大田南畝、天明期では四方赤良、文化文政期には蜀山人(しょくさんじん)を名乗っていた天才。

 

   世の中にたえて女のなかりせばをとこの心のどけからまし(在原業平の本歌取り  世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし)

 

 ご覧の通りのパロディーなんですよ、狂歌は。社会風刺や皮肉、滑稽を盛り込み、五・七・五・七・七の音で構成した本歌(和歌)のパロディ。短歌の形式を模してはいるが、文学的には別物と捉えられている笑いの庶民の文芸なのだそうな。今で言えばビートたけしのような存在だったか?

 

 大田南畝(直次郎)が、長崎奉行支配勘定方としてたった一年間長崎在住のおり、その茶目っ気を大いに発揮したらしい。上の狂歌は彦山から名月が昇る時に詠んだもの。

 

 現在長崎市から大村湾に抜ける時津町には

   

    岩かどに立ちぬる石を見つつをればになへる魚もさはくちぬべし

 

という狂歌で詠った「さばくさらかし岩」がある。この蜀山人の命名なんですね。