夏練.1

 

                          

     林道に蛇のたうちて夏立ちぬ

 

       立夏=夏の季語  *蛇も夏の季語で二重季語だが立夏の詠嘆の方が重い。

                    

  

 5月4日~5日はこうも遠出のランに気持ちのいい日よりなんだろうと思ってしまう。本来なら春のステージで多忙を極めている時なのだが、参加者の立場になってコースの一部を走ってみた。まず自宅→茂木→宮摺→ここから八郎山系の稜線に登る烏帽子岳への林道を行く→烏帽子岳→長崎市民の森→準堤観音(唐八景公園)→田上→自宅の約30kmのコース。橘湾の潮風が気持ちいい。宮摺まで逆走して林道に入る。ここの林道は八郎山系の稜線に出るまで両脇はほとんど竹林である。びっくりするほどの竹の子が刈っても刈っても後から伸び出てきている様子が竹の生命力を感じさせる。稜線の烏帽子岳入口直前でたった一台すれ違いに出会った車が停車していた。近づくとゆっくり走り去ったがその道端を見てみると、蛇がのたうちまわっている。一目見て鎖形文様のマムシだとわかる。 多分先ほどの車に体の一部を轢かれてのたうちまわっていたのだろう。私が近づいていくと草むらに必死で逃げていった。この時期気温が上がり変温動物の蛇はまだ動きが鈍いので日光が当たるアスファルトに出て日向ぼっこしていると車によく轢かれている光景に出くわす。

 私がこの林道に出会った唯一の車に轢かれたこの蝮もよっぽど運の悪い奴だと思うが、今年初めてラン道に出会えた蝮には「やっと暑くなってきたね。人を噛むんぢゃね~ぞ」と声かけして見送った。蛇は気持ち悪いが、出会わないとその山野のあたりが痩せているんぢゃ無いかとの思いがあって蛇に出会うとなんとなく山野の豊さを感じてしまうのである。