秋練.6

 

 

 

 

     梨袋赤のみ残る急斜面

  なしふくろあかのみのこるきゅうしゃめん

         

          梨袋=初秋の季語 

 

 梨を詠んだ俳句はほとんどが「剥く」「噛む・齧る」の情景描写が多い。

例えば「小刀や鉛筆を削り梨を剥く」正岡子規  「ずっしりと水の重さの梨をむく」永六輔 などなど。

本日の句は茂木黒橋の山側の梨農家の畑をランした時のものです。梨袋とは果実を害虫や日光から保護するために結実したらその果実にかぶせるパルプ製の保護袋のことです。部外者には壮観に見えるだけだが一つ一つの果実にこの作業は大変な労力には間違いない。茂木の山中では春先から5月にかけて名産「びわ」の実の袋掛けで野母崎半島橘湾沿ではお馴染みの光景が見られる。びわの木は物凄い数量でさぞ大変な作業だ。

 茂木は漁業はもちろんのこと琵琶栽培などが有名なのだが梨も名産なのである。他には柑橘系のデコポンやダイダイ、スダチなども結構栽培されている。なしは豊水や幸水ブランドだと思うのだが、すでに白い梨袋は採り入れが終了していて残る赤袋は豊水ブランドかも知れない。この海岸に迫る山陵の急斜面を切り開いての梨園は訪れ眺めるだけでも畏敬の念を抱きそのありがたさを感じてしまう。