冬練.2

  

 

 

     我は透明であると信じたごとく

        とぐろを巻いて寝ている蝮  

 

 山野ランで特に藪漕ぎする際に最も注意せねばならぬ事は、毒蛇に噛まれない事だ。日本の山野には普通に蝮(まむし)はいる。今年4月から10月まで山中ランで出会ったまむしは死んだものを含めて5回あった。月に1回くらいで出会う。最も道なき道を行く場合は必ず硬い木の枝で雑草の生い茂った地面を叩きながらのラン行で注意を払っているが、これが功を奏して噛まれた事はない。何が大変かと言うと蜘蛛の巣だらけになる事と、秋口から晩秋の雑草の「ひっつきぼ」がランパンランシャツに大量にくっつく事だ。で、この間アスファルト道のど真ん中にまむしさんが堂々と巻いていらっしゃる。本来臆病で警戒心の強い蝮なのだが、春先と晩秋のころ、ようようにしてこの光景に出くわす事がある。轢かれてぺちゃんこになるまむしを目撃するたびに、その全身を衆目に晒さなければならない程寒さに弱いと言う事なのだろうが、縞へびや青大将などの無毒の蛇よりあわれをもよおすのは何か不思議な感じがする。