2023冬練.1

 

 

 

 秋のハイパーダブル島原ステージを終えて、再確認したことがある。

この橘湾岸マラニックは100kmクラスのウルトラをを完走できた、普通にたくさんいらっしゃるランナーのために作られた大会であること。つまり100kmを走ってひょっとしたらもっと長い距離を走ってみるのも面白いのかもしれない、と思ってもらい実際出場してもらう大会なのだ。この大会の立ち位置でもある。今国内にある超ウルトラの大会で、上記の大勢いらっしゃるボリュームゾーンと言われているランナー層に合わせている大会は200kmまではあるにはあるが、200~400kmのワンステージレースはないに等しいと思う。しかも数日間にわたってフルサポートのある大会はこの本大会しかないのではないか。日本で一番サポートが充実していると言われる「桜道国際ネーチャーラン250km」もウルトラ界のエリート選手のみが対象である。普通のランナーは出られない。400km級のワンステージレースも近年開催される様になったが、エイドも数箇所しかないと聞く。その様な大会は普通のランナーには無理だ。強者が面白がっていく大会であればいい。

 

 250km級大会で普通のランナーに門戸を開いたのは30年の間開催された「萩往還マラニック」だ。この創設者の小野さんの理念は素晴らしい。実際大会を実行開催して普通のランナーの潜在能力をひらかせ視野を広げさせた功績は計り知れないと思う。当大会の理念も「あなたはご自身で普通のランナーだと思っていらっしゃるかもしれませんがね、ちょっと練習をすれば276km走れちゃう大会なのですよ。」と思っている。理念は萩往還と同じなのである。ただ、この橘湾岸マラニックが誕生したのは、萩往還が100kmのエイドやサポートが整った大会に慣れた普通のランナーにとっては、実にそっけない案内やサービス機能のない大会であった事にびっくりした事でその反動でこの大会が生まれたのだ。誤解しないでいただきたいのは、萩往還がひどい大会であると思ったことはない。素晴らしい素朴な大会であったと思う。橘湾岸マラニックは皆様の参加料をエイドを中心としたサービスに振り分けたいと思ったのだ。なぜなら普通のランナー対象であるからである。萩往還信者の方がよく言われる、「マラニックとは自分で地図を見てコースを探し、エイドで不足の分は自分で担いでいる補給食で賄い、そして順位にこだわらず。これが正しいマラニッカーなのだ。」そうだ。私はこれは違うと思っている。なぜなら主催者である私が、安くない参加料を支払う以上、受けたいサポートがあるものと信じている様などこにでもいる普通のランナーであるからだ。

 

今回はもののわかった選手ばかりで、訳のわからないランナーは超長距離部門ではいらっしゃらなかったが、その参加者の中でもエイド食に対してご不満があり、怒りさえ感じるレース記があった事に対しては、真剣に受け止め次回への改善に繋げていきたいと思っています。

 ただ、ランネットのレビューで「運営者が酷い。他の人はいいが。」のような書き込みがあったりして、普通のランナー対象の大会にありがちな、訳のわからん参加者も混じる様になります。批判は甘んじて真摯に受け止めたいと思います。しかしそれは大会行うたびに身を削り命を削る思いをしながら、不眠不休で運営している私を含めてスタッフに対してのご理解と人に対する最低限の敬意がない場合は、断固拒絶いたします。

 

 コロナ渦中だったこの三年間。恐る恐る開催した21年夏のチャレンジ、21秋の103km、そして規制解除になり客足の戻った22春、22秋のハイパーダブル島原ステージ。ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました。来年もこの大会へ足をお運びくださるようお願い申し上げます。それでは皆様、良いお年をお迎えください。

                     令和412月 おおつごもり  竃屋銀蔵(阿部)