2023冬練.1

 

 

 

 

   ラーメン食べながらすすり泣き

 

           宮崎県  渡邉智香子嬢

 

   これは不定形の俳句であり、形式に囚われない詩形の詩(うた)だ。

 11月3~5日に開催した秋の大会ハイパー部門に参加した女性が敗戦をまさに味わうこととなった時の歌だ。

ハイパーの完走は難しい。当大会としてはダブル部門を完走したらもう十分ですよ、というスタンスでいるが、それ以上に自分の能力を試してみたい、もっと強くなりたいという人々のためにこのハイパー部門はある。人はダブルを完走した時に、少なからずきっとこの先にあるハイパー部門も完走できると思ってしまうし、また挑戦意欲が湧いてくるのは健康な精神を持っている証なのだ。しかし普通レベルのランナーの走力ではワンステージで並の練習で完走できるのは160マイル(270km)までであろうと考えている。ワンステージ300km超える大会はランナーにとってもそれを支えるボランティアにとっても体力、精神力の限界を超える大会になるのだ。世間には400~500kmを超える大会もあるがその対象はエリートランナーであったり、ステージレースであったりする。ボランティアの負荷をなるべく少なくして開催できるような大会ばかりであるようだ。普通のランナーを完走させるべく目標としフルサポートをする大会はこの橘湾岸マラニックだけだろうと思う。

  この詩の1行には詩情が溢れている。美しささえも感じる。

リタイヤ後、腹が減って食事をした後なおラーメンを食べた、そしてそれを啜りながらなぜかとめどなく涙がでてくる。

 走れなかったのは内臓をやられたわけではないのに。時間さえあればもっと先に行けたはずなのに。難しいのはわかっているけど、突破できると思ったのに。完走を疑った人たちの鼻を明かしてやるはずだったのに・・・。

  選手は詩人だ。 私はこういう選手を愛する。